鍼灸マッサージに関するQ&A 1. 鍼灸マッサージの治療とは? 専用の治療具や施術者の徒手により、生体に様々な物理的刺激を与え、それによって起こる効果的な生体反応を利用し、生活機能の変調を矯正し、保健および疾病の予防または治療を行うものです。 資格としては、厚生労働大臣が認定する医療国家資格で、「はり師」・「きゅう師」・「あん摩マッサージ指圧師」という3つの資格に分かれています。 それぞれの技術の歴史は古く、人々の生活に密着したところで生まれ発展してきた治療術であり、経験的伝統医学とも言えます。 鍼灸マッサージの施術には、不快な症状の改善や疼痛の緩和・除去など、個々の疾病に対応した治療に効果があることは勿論ですが、人間が本来持っている自然治癒力を活性化し、ホメオスタシス(生体恒常性保持機能・体の状態を一定に保とうとする機能)の働きを助けることにより病気の治療にあたるという大きな特徴があります。 十人十色といいますが、患者さんの体質には個人差があります。同じ病気でも身体の調子を全体的に診断し、患者さん一人ひとりの体質に合わせて的確に鍼灸マッサージ治療を行います。 鍼灸マッサージは予防医学のひとつでもあります。どんな健康な人でも、骨格や筋肉内臓にちょっとした"ひずみ"をもっています。病気ばかりではなく体質の改善、病気の予防、健康管理に鍼灸マッサージを「転ばぬ先の杖」として、ご利用ください。 早ければ早いほど治療効果があがります。発病したら、できるだけ早く鍼灸マッサージ治療を受けて下さい。 @ 鍼(はり)治療とは? 鍼と呼ばれる専用の治療具を用い、身体の表面――主に経穴(ツボ)にあたる部位や特定の筋肉・各部位などに対し治療を施し、症状の改善に効果をあげます。 鍼を刺すことで「痛い、恐い」と思われる方も多いようですが、治療に用いる鍼は一般的には直径0.2ミリと毛髪ほどの太さしかありませんし、習熟した技術により、瞬間的に皮膚を通過させてしまうので、ほとんど痛みはありません。ツボによっては大変気持ち良く感じます。副作用の心配もありません。 またディスポーザブル(使い捨て)の鍼の使用や、器具・手指の消毒をしっかりと行うなど、感染防止の意味も含め衛生面にも十分な配慮を払っています。 A あん摩・マッサージ・指圧治療とは? 押し、引き、撫で、さすり、揉み、叩くといった手技を用いて患者個々に適した刺激量を選択し、治療を行います。 あん摩・指圧が経穴(ツボ)経絡(ツボとツボを結ぶ線)を意識して施術するのに対し、フランスから伝わったマッサージは、リンパ・血液の流れ・筋の走行に従って施術します。 このように、あん摩・指圧とマッサージとでは、理論や手技が全く異なるのですが、日本においてはひとつの資格として法制化されています。 あん摩や指圧は体の中心から末梢に向かって遠心性の刺激を与えるのに対し、マッサージは身体の末梢から中心に向かって求心性の刺激を加えるのが原則です。 「手で身体の状態を診ながら、悪い部分を見つけ治療する」という点では、あん摩・指圧・マッサージは同じですが、あん摩は中国で、マッサージはフランスで、指圧は日本で、それぞれ生まれ発達してきた手技療法です。 B 併用される治療法とは? ○運動療法 運動療法は全身状態を維持するために、また疾病の後遺症害などにより機能低下がある場合に、その改善をはかるための運動方法が処方されます。 ○物理療法 鍼灸マッサージや運動療法は主に徒手を用いて行われる手技療法ですが、それぞれの治療効果を一層高めるためによく物理療法が併用されます。 温罨法・電気療法・光線療法などがあります。 2. 鍼灸マッサージの治療効果 鍼灸マッサージや運動療法・物理療法を組合わせて施術し、期待される効果としては @疼痛の緩和 A血液・リンパの循環改善 B関節可動域の維持・増大 C心肺機能の改善 D内臓諸機官の機能改善 E残存機能の改善 F心理的効果 などがあげられます。 またこれらの治療は、総合的にADL(日常生活動作)の向上や精神的負担の軽減につながり、患者が人間としてのより質の高い生活を営むこと、つまり「QOL(生命の質)の向上」に対しても良い結果となることが十分に期待されます。 |